The die is cast SeasonⅡ

ロックン・ロールを奏でるスナフキンになりたかった

ボギィ@福山 「名物の漆黒カレーメニュー、あるいは僕たちが南蔵王の聖地で出会う、あの二色のジェラートの気遣いについて」

僕たちの人生には

 

時として言葉による説明を一切拒絶するような

 

圧倒的な厚みが必要になる

 

それは例えば

 

四月の午後の光の中に不意に現れる

 

珈琲の香りとスパイスの熱気が混じり合う空間のことだ

 

 

「ボギィ」

 

福山でカレーを語ることは

 

この店の歴史と向き合うこととほぼ同義だ


物語は

 

ドアを開ける前から既に始まっている

 

入り口のドアの外側

 

ホワイトボードに記された「本日のイチ押しカレー」の文字が

 

正しい楷書体で僕を静かに挑発しているからだ

 

 

店内は順番を待つ人々の静かな熱気で満ちていた

 

ウエイティング・スペースの椅子は既に埋まり

 

溢れた数人が壁際に立っている

 

僕はその最後尾につき

 

中立的な姿勢で

 

世界に空いたその小さな穴が僕を吸い込んでくれるのを待つことにした

 

注文したのは「B.エビフライ&豚ロースカツ」

 

まず運ばれてきたのはミニサラダ


それは驚くほど入念に冷やされていた

 

その冷たさは

 

これから始まる熱い冒険に備えて

 

僕の口内を清冽に整えてくれる正しい予稿のようなものだ

 

 

そしてメインの一皿が姿を現す


ボギィのルーは漆黒に近い深みを湛えている

 

それはまるで

 

遠い銀河の果てにあるブラックホールが

 

あらゆる光と時間を吸い込み

 

凝縮させたような色だ

 

 

小麦粉を一切使わず

 

大量のタマネギや野菜

 

そしてフルーツを

 

形がなくなるまで煮込み抜く

 

そこに創業以来の熟成されたルーを継ぎ足し

 

三十種類以上のスパイスを調合するときく

 

 

口に含めば

 

最初に訪れるのは果実の密やかな甘み

 

しかしそれはすぐに、深いコクの影へと姿を消す

 

そして最後に

 

静かだが断固とした辛さの波が

 

僕の意識の境界線をゆっくりと侵食していく

 

 

エビフライの直立したフォルム

 

豚ロースカツの断層

 

そこに添えられた目玉焼きが

 

漆黒の海に浮かぶ小さな島のように

 

ある種の静謐な平穏をもたらしている

 

サクサクとした衣の音を聞きながら

 

僕は自分がどこか遠い場所にある正解に近づいているような錯覚を覚える

 

 

嘉味!

 

物語は

 

意外な形で締め括られる

 


セットのジェラート

 

店主は僕たちがシェアできるようにと

 

ピスタチオとバニラの二種類をさりげなく出してくれた

 

甘さを控えたその冷たさは

 

スパイシーな余韻を優しく包み込み

 

これ以上ないほど適切な口直しとして機能する

 

こうした細やかな

 

しかし確かな気遣いに触れるとき

 

世界はほんの少しだけ

 

昨日よりも住みやすい場所に思える

 

 

店を出ると

 

外の空気は四月の陽光によって心地よく整えられていた


僕の胃袋の中には

 

ボギィの漆黒のルーと

 

二色のジェラートが刻んだ温かな記憶が残っている

 

ごちそうさまでした

 

またきます

 

僕が地元・福山や笠岡のリングで実直に向き合ってきた至高の記録は、こちらの【福山 笠岡 ランチ ラーメンおすすめ決定版リスト】にすべて整理しています。

 

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