福山の四月
陽光はアスファルトの上で無機質に炸裂し
大気は気怠い熱を帯びて沈殿している
僕は
胃袋の奥底で蠢く飢えという名の
猛々しくも凶暴な獣を鎮めるために「満麺亭」の暖簾を潜った

注文は「台湾まぜそば」

供された器の中には
驚くべき秩序が保たれていた
中央には
さながら太古の太陽のように黄金色に輝く卵黄
その周囲を
挽肉,ニラ,魚粉,そして海苔の断層が
峻烈な地層のように重なり合っている

だが 諸君
この料理の本質は
その精緻な秩序を自らの手で無慈悲に粉砕し
芳醇な混沌へと転化させることにあるのだ

僕は箸とレンゲを執り
器の中をかき回し始めた
それは
ある種の天地創造を逆行する作業だ
色彩は混ざり合い
スパイスの暴力的なまでに香ばしい薫気が
一気に鼻腔を蹂躙する

麺を啜る
極太の麺
それは驚くほど豊潤な弾力を湛え
僕の歯を力強く押し返してくる
噛みしめるたびに
タレの重厚なコクと
喉を灼くスパイスの波動が
僕の五感を狂わせる
そこには
アジアの路地裏で嗅いだ
あの火薬のような
あるいは血のような
生々しい熱気が宿っていた

嘉味!
サイドを固める餃子(クーポンサーヴィス)の
焦げた皮のパリッとした破壊音もまた
この贅沢な饗宴には欠かせないバイプレイヤーだ

途中で
僕は酢を注ぐ
それは
混沌とした闇の中に一筋の冷徹な雷光を落とすようなものだ
鈍重だった味が
一瞬にして鮮やかに
そして鋭利に研ぎ澄まされていく
やがて麺は尽き
器の底には具材の残滓がわずかに残った
店側は「おい飯」という名の甘美な誘惑を提示するが
今日の僕は
あえてそれを断固として辞退した
この戦慄にも似た快感の余韻を
一滴の濁りもなく肉体に刻み込みたかったからだ
潔い終幕
それは
飽食という名の緩慢な死に対する
僕なりの
ささやかな抵抗でもある

店を出ると
外の空気は四月の陽光によって
どこまでも澄み渡っていた
胃袋の中に沈殿する
スパイスの熱い記憶
僕は
また独り
この不透明な世界という名のジャングルへと歩き出す
ごちそうさまでした
僕が地元・福山や笠岡のリングで実直に向き合ってきた至高の記録は、こちらの【福山 笠岡 ランチ ラーメンおすすめ決定版リスト】にすべて整理しています。
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☆☆☆(☆☆☆また行きたい ☆☆美味しかった ☆まずまず ×価値なし)
営業時間 11:00〜15:00 18:00〜21:00
定休日 木曜日
駐車場 あり
福山市川口町4丁目20-5 ℡084-999-9532




