福山の中心部を離れ
潮の香りが微かに混じる箕島町へと車を走らせる
そこに「むすび むさし 福山箕島店」はある
広島市内にある店舗のような喧騒はなく
そこにはただ
穏やかで正しいランチタイムの空気が流れていた

暖簾を潜ると
そこはもう「むさし」の世界だった
選んだのは「廣嶋でがんす」
広島という土地が育んできた食文化の結晶とも言えるその名前には
何か心を落ち着かせる響きがある

トレイの上に運ばれてきたのは
一つの完成された宇宙だった
主役である「がんす」が
二つのむすび
そして仲間たちと並んでいる

まずは「がんす」から
パン粉を纏ってサクッと揚げられた衣の中に
魚のすり身の旨味が凝縮されている
それは
飾り気のない
しかし誠実な味だった
その傍らに添えられた蓮根の煮物は
驚くほど素朴な味わいがした
それは派手さはないけれど
確かな安心感を僕に与えてくれた

ふと見ると
一切れの卵焼きがそこにある
その均一なフォルムには
どこか機械的なニュアンスが漂っていた
だが
それが悪いわけではない
その無機質な正確さは
隣にある「むすび」の存在感をより鮮明に浮き上がらせていたからだ

人の手によって一つずつむすばれた
不揃いな俵むすび
昆布出汁で炊かれた米は
口の中で優しく解けていく
機械的な卵焼きと
体温を感じさせる手むすび
その見事なコントラストこそが
このトレイの上に流れる時間の正体なのかもしれない

嘉味!
最後の一口を飲み下し
僕は店を出た
箕島の風は少しだけ湿り気を帯びていたけれど
僕の胃袋は一つの完璧な調和を保っていた
ごちそうさまでした
僕が地元・福山や笠岡のリングで実直に向き合ってきた至高の記録は、こちらの【福山 笠岡 ランチ ラーメンおすすめ決定版リスト】にすべて整理しています。
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